当サイトについて
このサイトは「ここでライチョウを見た!」という目撃情報を、ライチョウ保護につなげる場です。
ライチョウは今、気候変動や高山環境の変化を受けて、絶滅の危機にあります。ライチョウを知り、ライチョウの暮らす高山環境を知る―ライチョウを通して自然環境の変化を感じていく長野県の公式サイトです。
長野県では、ライチョウを絶滅から守る活動を続けており、その一環として、ライチョウ保護に取り組む高度技術者の養成にも着手しています。
この養成事業を県内外の皆さんからご支援していただく枠組みとして、令和2年度からクラウドファンディング型の寄付を導入しました。ライチョウ保護のための高度な技術者の養成だけでなく、当サイトの開発もこの枠組みで支えられています。
「全国の皆さんにライチョウ保護を支えていただく=官民がスクラムを組んで保護に取り組む」これが長野県の実施するライチョウ保護スクラムプロジェクトです。今後とも長野県は、ライチョウ保護に携わるさまざまな主体と連携・協力し、ライチョウ保護に取り組んでいきます。
長野県の取り組み1
県民参加のライチョウ保護
を実施しています
長野県では、ライチョウを絶滅から守る活動を続けています。
県民参加のライチョウ保護を推進するため「長野県ライチョウサポーターズ制度」を設立しました。県民の皆さんの協力を得ながら取り組むライチョウ保護対策です。
ライチョウ目撃情報投稿アプリ「ライポス」により収集することになった目撃情報について、これまでもサポーターズの方々にご協力いただいています。
長野県の取り組み2
ライチョウに関する調査を
行っています
ライチョウがどのくらい生息しているか不明な山域で調査を行い、なわばり数や生息環境がどれくらいあるかを調べる「ライチョウ生息状況調査」を行っています。
また「ライチョウ生息環境調査」を実施し、餌となる高山植物の分布やライチョウの天敵となる野生動物の生息についても調べています。
ライチョウマップとは、「この山でライチョウを見た!」という皆さんからの情報をもとに作る“ライチョウの生息地図”です。
ライチョウは、高い山の上で生きる高山帯のシンボルです。高山にしかない草木や花と生きるライチョウは、これまで山や自然、生き物を愛する人々から大切にされてきました。
一方で、ライチョウが暮らす場所にたどり着くには、しっかりとした登山装備や体力、天候や地図を読み解く技術も必要なため、ライチョウの生息情報を調べるのは容易ではありません。特に北アルプスから南アルプスまで広い範囲にライチョウがいる長野県では、どの山にどれくらいライチョウがいるかを知るには、多くの情報が必要となります。
そんな時、「ここでライチョウを見た!」という一人ひとりのもつ情報が力を発揮します。皆さんからの目撃情報の点を集めていくことで、生息域全域を把握できる大きな地図“ライチョウマップ”を作ることができるのです。
いつ、どこで、どのようなライチョウを見たのか?長野県は、この情報を集めています。気候変動や環境変化により生息数が変動するライチョウを保護したいと考えているためです。
ライチョウがたくさんいる場所が分かれば、どのような環境を好むかを調べることができます。またライチョウが減ってしまった場所が分かれば、減少要因を調べ、ライチョウの数を安定させることもできるかもしれません。
ライチョウマップを毎年作っていくと、ライチョウが安定して多くいる場所、たくさんいたのに数が減ってしまった場所、いないと思っていたのに新たに生息が確認できた場所など、さまざまな発見をすることができます。こうして積み重ねた情報をもとに、長期的なライチョウ保護に取り組みたい―これが長野県の想いです。
活動事例 1
孵化から翌年の繁殖期までの、
ヒナの生残率を解析
ライチョウはキツネなどの地上性哺乳類や、イヌワシなどの猛禽類に襲われながらも逞しく生きている鳥です。しかし卵から孵化して約1ヶ月は、捕食や梅雨時の悪天候などにより、ヒナの数が急激に減少することが知られています。
図は、2011年と2012年の長野県のライチョウポスト事業で、登山者の皆さんからいただいたライチョウ情報です。母子の群れのヒナ数を示したもので、一つの○が一つの観察情報です。
7月はじめごろ、ヒナが孵化します。10月ころになると、ヒナも親と同じくらいになり、独立しはじめます。その間、登山者情報で見事にヒナの減少をとらえています。
このように、たくさんの情報が寄せられれば数理モデルを構築し、どの山域でヒナ数の減少が激しいなど、より詳しい解析ができると考えています。
活動事例 2
一般登山者からの情報で
ライチョウの分散が明らかに
登山者や長野県ライチョウサポーターズの方々の情報により、ライチョウが生まれた場所からどこまで行くか、どちらの性がより遠くに行くかなど、ライチョウの生態を解明する上で有益な情報が寄せられています。
南アルプス北部や北アルプスの立山室堂、乗鞍岳など一部の山域では、ライチョウの生態調査を行う際に、個体識別をするために色足輪を装着※します。色足輪を装着した個体が別の山岳で発見されることで、「この山岳のライチョウ集団と別の山岳のライチョウ集団とは繋がりがある」といったことがわかります。
一つの例として、南アルプスの北岳や仙丈ヶ岳で幼鳥の時に足輪をつけた雌が南の上河内岳などで発見されることで、「南アルプスは一つの集団として考えても差し支えない」、「遠くに移動するのは若い雌」ということがわかります。
※色足輪は、環境省など様々な機関の許可を得た上で実施しています。